お寺にある仏像は信仰の対象としてなくてはならないご利益のある存在ですが、教祖である釈迦が生きていたころはありませんでした。もともと仏教はバラモン教という宗教を母体として釈迦が新興宗教として起こしました。ですのでバラモン教の影響も大きかったのですが、その中に神像を作らないという習慣がありましたので、初期の仏教でもそうであったようです。また、仏教の教理自体が執着を離れるということや自然を重視したりしたので必要がなかったとも言えます。
しかしその後は色々な民族に伝わり、それらの人々の文化的な伝統を消化吸収しながら広がり世界宗教になったので、歴史的な過程で仏像も生まれてきたということになります。実際に信仰の対象が見えたほうが信仰しやすく、広がりやすいということもあるからです。そして悟りを開いた釈迦の姿はそのまま仏教的な救いの象徴となり信仰されました。無理もないことですが悟りを開いた釈迦の体の特徴に興味が持たれ三十二相八十種好などの特徴まで細かに決められています。
悟りを開いた人は体のすべてが重要ということですので、それぞれの体の特徴をあらわした像もたくさん作られています。その中でも特徴的なのが仏足石です。足の裏の特徴を表現していますが、特徴としては、足が大きく平らで、土踏まずがないとか足の指が長い、指と指の間に水かきのような膜があったという形で表現されています。釈迦自体がその特徴を持っていたということで仏像でも、それらの特徴から作られています。